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2009年4月

言葉処 其の87「がんばれ!田淵」

クイーンの「キラー・クイーン」の中にある「gunpowder, gelatine」という歌詞が「がんばれ、田淵」に聞こえるというのは有名だが、それまでは「ガンパウダー、ゼラチン」と聞こえていても、事前に「がんばれ、田淵」という日本語が頭にあると、大脳が字幕のようにしてそれを読んでしまい、聴覚は働かなくなってしまうらしい。ちなみに、この田淵は阪神~西武の田淵幸一選手だ。

この手のものは山ほどある。「掘った芋、いじるな」(What time is it now)や「知らんぷり」(Sit down please)はつとに有名だが、ほかにも「揚げ豆腐」(I get off)、「That you know」(だっちゅーの)、「わっかんない、意味」(What can I mean?)といったものもあり、意外と通じそう。実際、「water」は「ウオーター」では通じないが、ジョン万次郎流に「わら」と言うと通じる。

とまれ、なんでもない言葉でも英語にするとカッコいい。「I love you, I need you, I want you」というキザなセリフも英語なら様になる。これは舶来志向のなせる業かと思ったが、英語は響きのいい言葉と感じるのは西洋人も同じらしく、どこの国の歌手かは忘れたが、語呂合わせの英単語を並べただけのデタラメな歌を歌っている人がいるそうだ。英語版ハナモゲラ語と言うべきか。

一方、和訳するとおかしい言葉も。ブルース・スプリングスティンの『Born in the USA』は日本語で「俺はアメリカで生まれた」と連呼すると、まるで吉幾三だ。シカゴの『25 or 6 to 4』は直訳すれば「425,6分前」だが、70年代、世界中の若者が目覚まし時計の音声ガイダンスと化した。ちなみに、ドラッグでラリった体験を歌ったこの歌、邦題は「長い夜」と詩的だ。(黒)

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「動物園で、森本千絵°展」開催中!!

クリエイティブ界のトップランナー 森本千絵さんの個展が、北九州市にある動物園

「到津の森公園」で開催中です。

個展といっても人と人の間で生まれたと本人が語る、10年分の仕事の跡が

映像やイラストレーションでプレゼンテーションされています。

また、動物と人間の共生をテーマに「動物園で、できること。動物園に、やれること」を

皆で考え、実行していく「どうぶつgoen°」プロジェクトもスタート。

最初のプランは動物に手紙を書くことができる「どうぶつ郵便局」の開局です。

ワークショップも行われる楽しいイベントです!!

horse  pig  chick  dog  cat  horse  pig  chick  dog  cat

○「動物園で、森本千絵°展」

日時/ 2009年3月28日~5月31日

場所/ 到津の森公園  福岡県北九州市小倉北区上到津4‐1‐8

入園料/ 大人 800円、中高生 400円、4歳~小学生 100円 ※参加費は無料

主なイベント/ ワークショップ「動物園で音楽 gig°for animals」(4月25日)

ワークショップ「どうぶつgoen°会議」(4月25日)

ワークショップ 「動物園でカラダで感じる どうぶつ⇔にんげん」(4月26日) など

申込み方法、他内容についての詳細は、こちらをご参照ください。

      

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言葉処 其の86「蟹が縦に歩くが如し」

駅の窓口で「to Washington」と言ったら切符が2枚出てきてしまい、慌てて「for Washingtonと言い直すと4枚! こんなとき前置詞は何を使うんだ、「えーと(eight」と考え込むと、今度は8枚出てきたという話がある。笑っていられるのはここが日本だから。外国に行けば明日は我が身。かく言う私も、「bourbon」を注文して「what’s バーボン?」と言われたことがあった。

この手の話はあまたある。日系人が「ライス」と言って「lice(寄生虫)を食うのか」とバカにされたとか、オシャレなバーで「bloody mary」を注文したらなぜか「bread and butter」が出てきたとか。私の知人は「hamburger」と言って通じなかった。ところが、なぜか「cheese burger」は通じる。そこでチーズ嫌いの知人はこう言って注文した。「cheese burger without cheese!」

小学校の修学旅行で日光に行ったときは、外国人観光客が珍しくて握手待ちの行列ができたことがあった。いよいよ私の順番。緊張して思わず「はい」と言って手を差し出すと、「Hi!」と解され相手は満面の笑顔。周囲には「英語が話せる」と思われて鼻高々だったが心中複雑。さらに「Can youなんたらかんたら」と言われ、「bye」すら言えずほうほうの体で退散したのだった。

ドイツ訛りにフランス訛り、南部訛りにAussie Englishもあり、ビートルズはリバプール訛り。だから日本語訛りでいいと開き直りたいが、問題は訛ることすらできないこと。留学中の恩師は、じきに英語が話せるようになるインド・ヨーロッパ語族の学生に「君はなぜ上達が遅い?」と聞かれ、「日本語は縦書き。英語を学ぶのは蟹が縦に歩くが如し」と答えたという。けだし名言!黒)

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言葉処 其の85「直訳でも印象はだいぶ違う」

翻訳された川端康成の「雪国」は「Snow Country」、芥川の「蜘蛛の糸」は「Spider’s Thread」。だいたいが直訳だ。でも、漱石の「I am a Cat」(吾輩は猫である)にしろ、川端康成の「The Izu Dancer」(伊豆の踊り子)」にしろ、なんか印象が違う。ダンサーって。太宰の「走れメロス」(Run Meros)も安部公房の「箱男」(The Box Man)も原題まんまなのに、なんだか妙にハイカラだ

意訳もある。漱石の「草枕」(Three Cornered World)は和訳し直せば「三角の世界」で、石原慎太郎の「太陽の季節」(Season of Violence)は「暴力の季節」。小林多喜二の「蟹工船」(Factory ship)は省略形だ。思いきったのは谷崎潤一郎の「細雪」で、「The Makioka Sisters」とアイドルグループのよう。「痴人の愛」も主人公の名前ズバリで「Naomi」。これは妙にしっくりくる。

もっとも版元の監修もあるので、勝手なタイトルはつけられないだろう。スティーブン・キングの「刑務所のリタ・ヘイワース」や、フィリップ・K・ディックの「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」も原題の直訳だが、さすがに映画のタイトルには向かないと、映画化の際、前者は「ショーシャンクの空に」、後者は「ブレードランナー」に変えられて大ヒットした。さすが!

アガサ・クリスティのTen Little Niggers」はアメリカでは「Ten Little Indians」となり、のちに「And Then There Were None(「そして誰もいなくなった」)になった。直訳ながら詩的でいい。サリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」も素敵なタイトルだが、原題は「The Catcher in the Rye」。捕まえたいのは主人公のほうだから、誤訳ではないけれど誤解している人も多い。(黒)

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言葉処 其の84「桜考」

子供の頃、桜の下で掃除をしていると、掃いたそばから花びらが降ってくるので、いっそいっぺんに散ってくれと無粋なことを考えた。正直、目障りだったし、花見などは俗物のすることと思っていた。陽水は「桜三月散歩道」で「だって狂った桜が散るのは三月」と歌い、梶井基次郎は『桜の木の下には』死体が埋まっていると書いたが、桜には死生観を呼び覚ます魔力がある。

そのせいか、名作には桜を詠んだものが多い。「願わくは花の下にて春死なんそのきさらぎの望月の頃」(西行)、「久方の光のどけき春の日にしず心なく花の散るらむ」(紀友則)、「さまざまの事 おもひ出す桜哉(芭蕉)」、「死に支度いたせいたせと桜かな(一茶)」。「敷島の大和心を人問わば朝日に匂ふ山桜花」は特攻隊の象徴のようになっているが、本居宣長にその意図はなかったろう。

一方、「あおによし奈良の都は咲く花の薫ふがごとく今盛りなり」の「花」は梅だ。だが、歴史の授業で教わった「桜が愛されるようになったのは平安時代以降」というのはウソだそうだ。梅は大和朝廷の頃に中国から渡来した流行のブランドで、そこで和歌を作るとなるとミーハーたちが気取って題材にすることが多かったのだが、桜は桜で人々に愛されていたというのが事実らしい。

桜は日本原産で、原種は山桜などの10種ほどだが、掛け合わせは600種以上もあり、江戸時代に染井村の植木屋さんが大島桜と江戸彼岸を掛け合わせて作ったソメイヨシノも園芸品種だ。また、「冬桜」「十月桜」「不断桜」といった春以外に咲く桜もあり、初めはそうとはつゆ知らず、天変地異の予兆だと思ってしまった。秋空に桜は野暮ではないが、やはり絵にはならない。(黒)

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